起業のヒント。ウルトラニッチな商品を持つことが差別化に
中小零細企業や個人事業主向けにクラウド会計ソフトを提供しているfreee。同社が出版する「ウルトラニッチ 小さな発見から始まるモノづくりのヒント」という本を読みました。これから起業しようと考えている人に役立つ書籍だと思いましたのでご紹介します。
起業する時に真っ先に考えるのは、何をビジネスにするのか、ということ。当社の場合はスタッフが持つ「スキル」を売るシステム受託開発という無形サービスになります。デザイナーやコーチング業に関わる方も同様で、その人そのものが商品です。過去の経験を生かしたビジネスモデルなので参入しやすいのですが、他と差別化しにくく常に競争している状態です。
今回ご紹介する本に登場するのは、このような無形サービスではなく、他にないモノづくりで注目されている人たちです。モノづくりにも過去の経験は必要なのですが、大切なのはそこから何を生み出すのか。大企業と競合するようなモノを生み出しても勝ち目はありません。では、どのようなモノづくりを行えば勝ち目があるのか。本書ではシンプルに2つのヒントを与えてくれます。
- 無競争
- 高くても売れるモノ
小規模事業者が競争で勝つためには、戦わずして勝つ無競争状態が望ましい。そして、その無競争を生み出すためには他が参入しにくいウルトラニッチを手掛けるべきだと。自動車メーカーで例えればフェラーリ。フェラーリが欲しい人はフェラーリだけを見ていて、他の自動車に興味はありません。だから、どんなに高くても、どんなに納期が先でも手に入れようとします。こういったニッチな商品を作ることができれば競争しなくて済みます。
また、ニッチ商品の場合は高くても売れるモノであることも大切です。競合が多い場合はコスト競争になりがちなので値下げ圧力が高まります。そうなれば小規模事業者は勝ち目はありません。しかし、ニッチ商品であれば値下げする必要がなく、逆に値上げすることでブランド価値を高めることもできます。前述したフェラーリと同じです。つまり、高くても値上げしても欲しいと思われるモノを生み出すことが大切です。
この2つの条件を満たした人とモノが次の10人です。
- 動物専門の義肢装具士
- 日本にひとりのスプーン作家
- 廃棄野菜で「おやさいクレヨン」
- 唯一無二に腕時計は1,800万円
- 1台350万円のかき氷マシン
- 3Dプリンタで成型した骨格標本
- 手術トレーニングマシン
- 世界が注目するフレームビルダー
- 名だたるトランペッターを虜にするマウスピース
- 元アップル社員が作るコーヒーグラインダー
一時期、モノではなくコトづくり、という言葉が流行りました。しかし、これからはモノがビジネスの軸になり、そのモノからコトを生み出す時代に入ります。そして、そんな魅力的なモノは簡単に海を渡ります。SNSで世界中が繋がっている今は、コトよりもモノの方がブランド価値を生み出しやすく、グローバルにも展開しやすい。
これからモノづくりで起業したい人にとってヒントがたくさん詰まった一冊です。興味のある方はぜひどうぞ。