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【読書レビュー】静おばあちゃんにおまかせ(著・中山七里)

(Review)警視庁の若手刑事と法曹界を目指す女子大生が事件を解決していく短編集です。短編集ではあるのですが、いくつかの伏線が用意されていて、むしろ事件解決よりも伏線の結末の方に興味を持ちました。事件解決に関しては著者の特性上、序盤の登場人物が犯人になる確率が高いため、それほど斬新な謎解きだとは感じませんでした。が、伏線の結末は「まさか、それやっちゃうの?」という意外性があり、SFチックでもあり、涙ありで面白かったです。それにしても、事件解決を女子大生に依存するなんて、どんだけ日本の警察はアホなんや。


ハイライト

難儀なのは世の中で起きている紛争や犯罪が正義と正義の衝突ということなの。

組織というものが、まず存続することを正義としているからよ。その大義名分の前では個人の良識なんて消し飛んでしまう。例えば、一人の社員がいくらお客さんの利益になると信じていても、それが会社の不利益になることなら組織人たる者は会社の利益を選択するよりほかないでしょ。正義が歪むというのはね、そういう意味。

個人や組織の唱える正義なんて、所詮は自分の行動を正当化するための理屈でしかないのよ。

正義というのはね、困っている人を助けること、飢えている人に自分のパンを分け与えること。定義なんてそれで十分

物心つく頃からその人なりの行動規範というものは自然にあってね。その自分の規範と世間の良識を擦り合わせていく作業を成長というの

行為は法が裁く。でも心を裁くのは神様に任せる。そう割り切るしかないんだって

権力を握った人間は自分が正義だと思い込んで、その正義を揺るがすものを赦そうとしないから

仕事の価値はね、組織の大きさや収入の多寡じゃなくて、自分以外の人をどれだけ幸せにできるかで決まるのよ


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