今、最も人材獲得競争が激しい分野は何？と聞かれれば、多くの人が「AI」を思い浮かべるのではないでしょうか。実際、AIに関連する人材は不足していて、各企業が人材育成に力を入れています。また、大学にもデータサイエンスなどAIに関連する学部設置が進んでいます。

一方、AI以外で人材獲得競争が盛り上がっているのが「IR人材」です。IRとはInvestor Relationsのことで、上場企業において投資家向けの広報を担います。なぜ、IR人材の争奪戦が広がっているのでしょうか。一番の理由は投資家と企業のコミュニケーション量が増えており、その対応次第で企業の評価が大きく変わるからです。

今まで日本の企業はIRをあまり重視してきませんでした。しかし、海外の機関投資家など積極的に企業に株主提案する投資家や株主が増えており、企業としてもIRを重視せざるを得ない状況です。そこで、金融知識のある人材を獲得する流れが出来ているわけです。

具体的には金融業界に属している人材を、メーカーなど他の業界のIR担当として雇うケースが多いようです。

 IR人材に求められること

IR（Investor Relations）人材は、企業の投資家との関係を管理し、適切な情報開示やコミュニケーションを担当する専門家のことを指します。投資家と企業の間で透明性と信頼関係を築くために重要な役割を果たします。

具体的には次のような役割を果たします。

• 企業の業績や戦略に関する情報を的確に伝える
• 株主や投資家からの問い合わせや要望に対応し、財務報告書やプレゼンテーション資料の作成
• 株主総会や投資家向けのイベントなどに参加し、企業のビジョンや成長戦略を説明する

このような役割を果たすために、彼らには財務知識やビジネスに関する洞察力、コミュニケーションスキルが求められます。また、自社の経営陣や他部門との連携も重要となります。

総じて言えば、IR人材は企業と投資家の架け橋となり、透明性と信頼を築くためのコミュニケーションを円滑に行う専門家として活躍します。