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日本のトラック運転手が不足する原因は?

2024年に日本のトラック運送業界で運転手の時間外労働に対する規制が強化されます。この規制によりトラック運転手の時間外労働の上限が年間960時間になります。これは運転手の労働環境を改善するために行われるものなのですが、結果的にさらなる労働力不足を引き起こすと言われています。

全日本トラック協会の調査によると、2022年10月時点で時間外労働が960時間を超えている運転手は約30%います。規制適用後はこの時間外労働によって賄われていた30%の荷物が運べなくなります。これを解決するためには960時間以内に運べる新たな人材を追加採用するか、現時点の労働力で30%分の荷物を運ばなければいけません。

また、時間外労働によって得られる収入を目的に運転手を担う人材もいるわけで、収入的な魅力がなくなれば運転手を離れる人材も増えるでしょう。結果的に更に人材不足に陥るというリスクを持ちわせています。ITで解決するという話も出ていますが、そんなに簡単に解決することはできず、この問題が解決するまでは運送費は上昇を続けると言われています。

トラック物流は日本の経済・社会を支える根幹であり、鉄道や航空では代替手段になりえません。タクシー業界も一時期同じような状況にあり、現在は若手の労働力を増やそうと労働環境を改善中ですが、今後トラック物流業界も同じように若手にとって魅力的な労働環境にすることが必要だと考えます。

 なぜトラック運転手が不足するのか

トラック運転手不足の原因は、大きく分けて以下の3つが挙げられます。

  1. 高齢化
  2. 労働環境の悪さ
  3. 女性の進出の遅れ

日本のトラック運転手の平均年齢は50代後半に達しています。高齢化に伴い、定年退職や健康上の理由による離職が増えてきているため、ドライバーの確保が難しくなっています。

トラック運転手は長時間労働や休日が少ないなど、厳しい労働環境が問題となっています。また、近年はドライバーに対する暴力やトラブルの増加も離職の原因となっているようです。

この業界は男性の職業というイメージが強く、女性の進出が遅れています。しかし、近年は女性の社会進出が進み、トラック運転手を目指す女性も増えつつあります。

 運転手不足を解決するには

トラック運転手不足は物流の停滞や物価高騰などの経済問題につながる可能性があります。そのため、政府や業界団体はトラック運転手不足の解消に向けて、さまざまな対策を講じています。

具体的には、以下の対策が挙げられます。

  1. 労働環境の改善
  2. 女性の進出の促進
  3. 自動運転技術の導入

2024年の規制は労働環境の改善に当たります。長時間労働の是正や休日の確保など、労働環境の改善を図っています。また、安全運転の教育やトラック運転手に対する暴力やトラブルの防止対策も進められています。

自動運転技術の導入によりトラック運転手の需要を減らすことが期待されています。しかし、自動運転技術の普及にはまだ時間がかかることが予想されます。AIやITがどれだけ導入されたとしても、物流は運搬だけでなく搬入・搬出という作業を伴うため、技術だけで解決するには限界があるでしょう。

近所のコンビニで商品を搬入している運転手の姿をよく見かけますが、彼らの作業をITで解決するのはかなり難しいと感じます。もし、運転手が運搬だけを担い、搬出・搬入をコンビニスタッフが担うことになれば、今度はコンビニスタッフの労働環境が悪化し、人手不足に陥るでしょう。

結局、世の中には誰かが担わなければいけない仕事があり、そのような仕事の人手を確保するには収入面を充実させるしかないと考えます。残業が増えても、その分しっかり収入が増えるのであれば問題ない。そう考える人材もいるでしょう。画一的に規制を張るのではなく、業界毎の人材のニーズに合わせることが必要ではないでしょうか。

 Bloomberg

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