ユーザの閲覧情報を追う「デバイスフィンガープリント(DF)」とは
ユーザの追跡技術として主流なのがcookie(クッキー)です。cookieは対象となるサイトに訪れたユーザの訪問履歴や訪問回数、広告閲覧履歴などさまざまな情報を閲覧で使用したブラウザに埋め込む技術です。分かりやすいのがネット広告です。例えば楽天市場で「ジンギスカン」の商品を閲覧すると、他のサイトを閲覧しているときも「ジンギスカン」の広告が表示されます。これはcookieに「ジンギスカン」に興味を持っているという情報が埋め込まれているからです。
cookieのおかげで私たちは便利さを手に入れてはいるのですが、個人の行動を勝手に分析しているという点で欧州を中心に批判されています。だから、最近のWebサイトではcookie利用に同意するかどうか、という同意確認が表示されます。日本はそこまで批判的な風潮はないのですが、世界的なこの流れに逆らうことはできないでしょう。そこで新たに登場した個人追跡の方法が「デバイスフィンガープリント(DF)」です。
フィンガープリントとは指紋のことです。この技術はcookieのようにブラウザ内に情報を埋め込むものではありません。簡単に説明すると、あるユーザがサイトを閲覧した場合は、そのユーザの閲覧機器(スマホやパソコン等)の種類や使用されているソフトの種類、動き方(閲覧の癖)の特徴がネットの閲覧記録と共に残ります。それは、ブラウザ内ではなく、広告会社のサーバに蓄積されます。広告会社はその人のDFを手がかりにネット上の行動をたどり分析します。そして、その分析結果をクライアントである企業のネット運営に利用します。
DFとcookieの最も大きな違いは、外部に気づかれにくく、ユーザから遮断するのが難しいことです。cookieの場合はユーザ側で削除することも可能なのですが、DFの場合はそれが難しい。この点に批判的なグーグルやアップルは自社で提供しているブラウザをDFが働きにくい仕様にしています。
ネット上では氏名等の個人情報が不詳のままでもその人を特定できるデータが飛び交っています。今後もDF以外の個人追跡技術が出てくるでしょう。そのような時に各企業はどのようにその技術を活用、制限していくのかルールを設ける必要があるでしょう。