富裕層に選ばれている海外居住地とは
富裕層=海外居住のイメージは多くの人が持っていると思います。なぜ、富裕層は海外に居住するのでしょうか。それは次の5つの理由があるからです。
- 投資・節税
- 教育
- 生活環境
- ビジネス
- ライフスタイル
この中でも特に重視しているのが「投資・節税」と「教育」です。富裕層は租税回避のために低税率の国や地域に移住する傾向があります。また、海外に居住することで、それまでとは異なる投資機会に出会えるチャンスが生まれます。
幼い子どもを持つ富裕層にとっては教育も大切です。富裕層は国内に限定しないで世界中から高い教育が受けられる場所を探します。実際、欧州諸国は世界トップレベルの教育機関が集まっているため、富裕層の子どもの多くは欧州で教育を受けます。
このような理由から富裕層は海外居住を望みます。しかし、最近は英国やポルトガルを始め、従来の富裕層優遇措置を廃止または見直す傾向があります。そうなった時、富裕層は今後どのような国・地域を選ぶのでしょうか。最近のBloombergの記事で紹介されていた場所をご紹介します。
アンティグア・バーブーダ
アンティグア・バーブーダはカリブ海の東部、小アンティル諸島にある独立国で3つの島から構成されています。この国では居住者も非居住者も、国内で得た所得や海外資産には課税されません。また、富裕税も相続税もありません。外国人はたったの10万ドル(約1470万円)で欧州へのビザ(査証)なし渡航を約束する市民権を取得することもでき、事前にビザを申請することなく154カ国に旅行することができます。
アラブ首長国連邦(UAE)
アラブ首長国連邦は個人所得、キャピタルゲイン、相続、贈与、不動産に課税しません。そのため、ここ数年世界中からヘッジファンド運用者やバンカーが殺到しています。またドバイは最近、起業家やエンジニアなど長期滞在ビザを申請できる人の範囲を拡大しました。その一方で、不動産価格が高騰したり、インターナショナルスクールのキャンセル待ちの長くなっているようです。
イタリア
イタリアでは新規居住者は10万ユーロ(約1600万円)の年会費を支払うことで、国外所得に対する課税が免除されます。この税制優遇措置の恩恵を受けるミラノの人の数は、2021年には合計1300人を超えています。特に米国や中東の富裕層にとって、低税率の欧州諸国に資金を置くための主要な受け皿の一つになっています。その一方で、不動産価格が高騰し、地元住民との緊張関係が高まっているようです。
モナコ
欧州のエリートたちの遊び場であるこの小さな国には不動産、個人所得、キャピタルゲインに対する税金がありません。また、地元企業が支払う配当金への課税を廃止し、一般法人所得税も課していません。ただし、賃貸物件には年間賃料の1%が課税されます。ちなみに世界で最も不動産価格が高いのはモナコです。
このように人気の国・地域は富裕層に対する課税が緩いのが特徴です。一方で税率が高くても人気の国があります。それがフランスや日本、デンマーク等です。フランスと日本の最高税率は45%で、デンマークは52%となっています。しかし、これらの国は生活の質や公共サービスが充実しているため、富裕層に人気があります。