銀行システム24時間化で午後3時以降も振込可能に
10月9日に銀行の送金システムが大きく変わったことはご存知でしょうか。一番大きく変化したことは銀行送金の時間帯が24時間化されたことです。今までは午後3時以降に振込手続きを行った場合、相手側の口座に入金されるのは翌営業日になりました。しかし、今回のシステム変更により午後3時以降でも当日入金できるようになりました。これは個人だけでなく会社業務においても影響が大きいと思われます。
なぜ急にこのようなシステム変更を行ったのでしょうか。その一番の要因はLINEなど新たなフィンテック勢による24時間送金システムに対する危機感です。フィンテック勢が生み出すサービスは利用者の利便性を高めたものが多く、特に個人がこのようなサービスを使い始めているのだとか。このままフィンテック勢の勢いが増せば、個人客が銀行から流出する可能性が高く、急遽このような対応を行ったのでしょう。
24時間化でネット通販の利便性が高まる
今回の送金システムの変更で、今後どのような影響がでるのでしょうか。個人の利便性という面で見ると、午後3時以降でも当日中に銀行振込が完了することが最も影響が大きいと思われます。例えば、親元を離れた子供から夕方に緊急の仕送り連絡があった場合、親は子供に対して当日中にお金を送金することができます。また、夜の飲み会のお勘定を割り勘にする場合、その場でネット送金して割り勘することもできます。
法人の場合はもっと助かることが増えます。特に中小企業の場合、入金の一日のズレが業績に大きく影響するのですが、24時間化されたことで即日入金され、従来のズレが解消されます。ネット通販を行っている企業に関しても購入者からの入金が当日中に確認できるため、発送作業等が素早く行えるようになります。購入者にとっても以前よりも早く商品が手元に届くようになるでしょう。
不正が増えるリスクも高まる
良い事ずくめのシステム変更だと思われますが、若干のリスクも抱えます。最も危惧されていることは振り込め詐欺被害の増加です。従来は被害者が午後3時以降に振込手続きをしても相手側に入金されるまで時差がありました。この時差を利用して未然に入金を阻止することができたのですが、24時間化されたことで時差が無くなり、犯罪者に入金される可能性が高まってしまうのです。おそらくシステム側で振り込め詐欺を阻止することは難しいため、今後は入金作業以前の抑止力が必要となるでしょう。
今回の新システムに参加している金融機関はすでに504社あります。まずは取引先銀行がこの新システムに参加しているのか確かめましょう。ちなみに京都の地銀各社は対応済みです。